ギックリ腰は最初の一手で変わる
ここ最近、僕のところには
1日で五〜六人もの
ギックリ腰の方が来られています。
ギクッときたら
いちばん大切なことは
赤ちゃんのように丸くなって
その場で身体を休める。
これがギックリ腰を
早く治す奥義です。
この最初の一手しだいで
その後の治り方が変わる。
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魔女の一撃が走る理由
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デスクワークで座りっぱなし。
同じ姿勢で長時間テレビを見る。
同じ動作の繰り返し。
こうした時間が続くと
股関節と腰の連動が
少しずつ失われていきます。
本来は股関節と腰が
一緒に受け止めている力を
腰だけで受けることになる。
魔女の一撃を喰らうごとく
一瞬で体重の何倍もの
力が腰にのしかかります。
もう一つは内臓の疲れです。
夏の疲れは 腎臓や腸にも
じわじわと残っています。
内臓も腰の筋肉も
薄い膜に包まれていて
通常は膜同士はツルツルと
滑りあって動いています。
僕はこれまで海外で
十回以上の献体解剖を
経験してきました。
内臓を包んでいる膜と
腰の筋肉を包む膜が
どうつながっているのか。
この目で確かめてきました。
中には、その膜同士が
べったりと癒着を
起こした身体もありました。
くっついた膜に引っぱられた
腰の筋肉は動きづらくなり
腰に負担がたまっていきます。
内臓の疲れが続くと
この膜の滑りも悪くなる。
僕は臨床でそう感じています。
だから僕は腰が痛い時も
腰だけを見ることはなく
内臓との関係を大切にします。
そこに朝晩の冷えが加わる。
冷えた筋肉は縮こまり
腰に一気に負担がかかります。
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ストレスと阪神タイガース
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そしてストレスがあると
この悪さが加速します。
厚生労働省のサイトにも
ストレスを抱えたまま
物を持ち上げると 姿勢の
バランスが微妙に乱れて
それがギックリ腰の
起こりやすさを高めると
紹介されています。
そういえばつい先日
阪神タイガースが甲子園で
まさかの四連敗を食らい
日本シリーズを逃しました。
球団史上初のリーグ連覇で
日本一を夢見ていたのに
CSでは一つも勝てずに終わる。
あのショックが引き金で
ギックリ腰になった人も
いるかもしれません。
怒りや嫌な気持ちの正体は
理想と現実のギャップ。
ギャップが大きいほど
身体はギュッと固まりやすくなる。
ここまでが重なった身体は
ほんの小さなきっかけで
限界を越えてしまいます。
顔を洗おうと前にかがむ。
軽くクシャミをする。
床の物を拾おうとする。
そんな何気ない一瞬で
腰がギクッといって
その場から動けなくなります。
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足首なら誰でもわかる
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ギックリ腰は怪我です。
けれど、そう思っている人は
まだまだ少ないように感じます。
足首をグキッと捻挫して
湿布を貼り、痛み止めを飲み
そのままマラソンを走る
そんな人はいません。
腫れて色が変わって
誰が見ても怪我だとわかるから
自然と足をかばいます。
ところが腰の怪我は
外から見ても腫れていない
あざもできていない。
病院で画像検査をしても
はっきりとした傷が
写らないこともあります。
それでも身体の中では
痛むところを守ろうと
腰がギュッと固まっている。
怪我として扱うべき状態です。
見えないからこそ
つい湿布を貼り
痛み止めを飲み
仕事に家事にと動き回る。
これがいちばんダメです。
痛みが軽くなることと
身体が回復したことは
同じではありません。
痛み止めはつらい痛みを
和らげてくれる味方です。
ただ、それで動き回るのは
火事の時、火災報知器が
鳴って知らせてくれているのに
火を消さずに音を止めて
安心しているのと同じです。
痛みは身体から出る
「今は動かないで」という
SOSのサインです。
そのサインだけを消して
傷めたところを使い続けると
回復が長引くことがあります。
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お母さんのお腹の中の形
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ギクッときたら、まず
その場で動くのをやめます。
無理に歩いて移動しない。
安全に横になれるなら
その場で横向きに寝転んで
膝を軽く胸のほうへ寄せ
背中を丸くします。
椅子なら前かがみになって
太ももに肘をつく。
テーブルに上半身を
預けてもかまいません。
いちばんいいのは床です。
全身を床にまかせられるので
身体が安定します。
床が硬い時は手の届くところに
座布団や毛布があれば
身体の下に敷きます。
その形のまま
ゆっくりと深呼吸を
繰り返します。
吸う息より、吐く息を長めに。
ただし
丸くなるとかえって痛みが
増す時は無理に丸めずに
楽な姿勢で。
この丸くなった形は
お母さんのお腹の中にいた時の
胎児の形そのものです。
寒さに身を縮める時。
怖くて身がすくむ時。
お腹が痛くてうずくまる時。
どれも身体は自然と丸くなる。
これは痛みや恐怖やストレスから
自分を守ろうとする
身体の防御反応の一つです。
そして僕はこの元の形に
身体が本来持っている
回復する力を引き出す
働きもあると感じています。
脳は痛みの信号を受け取ると
神経や免疫の働きを通して
身体を守る反応や回復の流れを
絶えず調節しています。
丸くなって息を吐いていると
身体の緊張が少しずつほどけ
回復の流れが進みやすくなる。
本人も気づかないところで
もう治す準備が始まっている。
僕はそう考えています。
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三十分後にわかること
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最初の三十分はまず
痛みを落ち着かせる時間。
そして次にどうするかを
判断するための時間です。
そのまま三十分ほど
丸くなって休んでいると
「これは動けそうだ」なのか
「これはやばいかも」なのか
それが不思議なことに
自分の身体でちゃんと
わかるようになってきます。
三十分は僕が臨床で
見てきた中での目安です。
決まった時間ではありません。
それでも痛みが強い時。
不安が消えない時。
動けそうにない時。
無理に動こうとせず
六十分でも九十分でも
じっとしていてください。
ただ長く休むほど
早く治るとは限りません。
怪我として扱い発症直後に
無理に動かさないこと。
ただし休んでいる間に
次のような様子があれば
ギックリ腰とは限りません。
股のまわりの感覚が鈍い。
脚の力がどんどん抜けていく。
急におしっこや便の出方が
おかしくなった。
こうした時は時間を待たずに
すぐに救急で受診してください。
脚のしびれやじっとしても
増していく痛みがある時も
早めに医療機関へ相談を。
動けそうかどうかの目安は
寝返りが打てるか。
四つ這いになれるか。
痛くても立ち上がれるか。
これができるようなら
無理のない範囲で少しずつ
動き始めてみてください。
どれも難しいようなら
無理に動かず安静にして
痛みが落ち着くのを待ちます。
この時、湿布や痛み止め
アイシングに頼って
痛みを消す必要はありません。
痛みを消してしまうと
脳が治ったと勘違いして
つい動きすぎてしまいます。
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腰の上と下にある関節
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ギックリ腰を防ぐために
朝晩が冷えるこの時期は
股関節、足首、首、肩甲骨を
いつも以上に動かしてください。
動かす時は、ゆっくり大きく。
一か所だけで終わらせず
全身につなげるように。
速く動かすと効果は減ります。
腰の上と下にある関節が
しっかり動いていれば
力が腰の一か所に集まりにくい。
もしもギクッときたら
お腹の中の赤ちゃんのように
丸くなるあの形を
思い出してください。
困った時に戻る形を
僕たちは生まれる前から
ちゃんと知っています。
最後までお読みいただき
本当にありがとうございました
あなたの体と心が少しでも
軽くなりますように
あなたの健康と笑顔が
誰かのための幸せな
一歩になりますように
治療家 藤田隆弘
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